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私は、音楽が好きです。 音楽好きと言ってもその深さや広さは人それぞれで、何をもって定義とするかもバラバラですが、とりあえず私は「iPhoneユーザーなのに、わざわざSpotifyをインストールして聴いている」くらいには、音楽へのこだわりがあるということだけは確かです(伝わる人には、深く伝わると信じています)。
そんな日常に音楽が欠かせない私が、今回は「夏の夕暮れどきに聴きたくなる音楽」を厳選してみました。 シチュエーションとしては、日が落ちかける時間帯の「夕暮れ散歩」がイチオシ。 これから紹介する音楽たちと出会うことで、夏のあの鬱陶しい蒸し暑さすら、逆に「なんだか良い雰囲気じゃん」と思えてしまうような、素敵な魔法にかかっていただければ嬉しいです。
① 星野源「Ain’t Nobody Know」
まず最初に紹介するのは、2019年にリリースされた星野源さんのデジタルEP『Same Things』に収録されている「Ain’t Nobody Know」です。
この楽曲は、ゼロ年代のロンドンを中心としたインディー・ポップの潮流を汲む、世界的ソウル・シンガーでありギタリストのトム・ミッシュとの共同プロデュース曲。トムが送ってきたトラックに星野さんがメロディーを乗せ、それをまた打ち返すという、国境を越えたキャッチボールを経て完成しました。星野さんは当時のインタビューで「ビジネス的なコラボではなく、友達と一緒に音楽を作るイメージを念頭に置いていた」と語っています。当時のビルボード・ジャパンのダウンロード・ソング・チャートでも上位にランクインし、大きな話題を呼びました。
音数が削ぎ落とされた、軽やかで心地よいサウンド。これが、夕方になってもだるく残る夏の空気と驚くほど相性が良いんです。日々の忙しさや夏独特の騒々しさから、この音楽を聴いている間だけはすっと解放されるような、大人のためのリラックス・ミュージックです。
② TOMORROW X TOGETHER「Magic Island」
2曲目は、韓国の5人組グループ・TOMORROW X TOGETHERが2019年にリリースした韓国での1stスタジオアルバム『The Dream Chapter: MAGIC』に収録されている「Magic Island」です。偶然にも、1曲目と同じ2019年のリリース。
アルバムの終盤を飾るこの曲は、アコースティックな質感とメンバーの優しいボーカルが織りなす、どこかノスタルジックで幻想的なスロウ・バラードです。
耳にスッと染み渡るようなサウンドが、夏の夕暮れをひどく感慨深く、ドラマチックにさせてくれます。これを聴きながら夕暮れの街を歩いていると、このまま夏らしい夜を感じる場所へエスケープしたくなる衝動に駆られます。星がきれいに見える場所、野外映画フェス、あるいは波の音が聞こえる海辺やキャンプ場。夏を涼しげに、そしてロマンチックに彩ってくれる名曲です。
③ RM「Domodachi (feat. Little Simz)」
3曲目は、BTSのリーダー・RMが2024年にリリースした2ndソロアルバム『Right Place, Wrong Person』に収録されている「Domodachi (feat. Little Simz)」です。
1、2曲目の心地よさとは打って変わって、骨太でオルタナティブなヒップホップ・チューン。イギリスの実力派ラッパー、リトル・シムズを迎えたエッジの効いた1曲です。
正直、全然「夏らしい爽やかな曲」ではありません。MVの雰囲気も歌詞の内容も、夏とは無縁です。ですが、日が沈みかけても容赦なく残るモワッとした暑苦しさや、それでも前を向いて進んでいく人間の泥臭いエネルギーに、妙にマッチするんです。「今日は絶対に負けられない」と闘志に満ちた夕暮れには、これが最高に効く。なんだかよく分からないけれど、お疲れモードのおじさんサラリーマンが、帰りの満員電車の中とかでこれを聴いて、内なる炎を燃やしていてほしい……そんな1曲です。
④ スチャダラパー「サマージャム’95」
4曲目は、日本のヒップホップ界のレジェンド・スチャダラパーが1995年にリリースした、言わずと知れた日本語ラップの金字塔「サマージャム’95」です。
大ネタのサンプリングをベースにしたメロウでゆるいトラックと、「あちー、あちー」と言いながら夏の何気ない日常を切り取った脱力感のあるリリック(歌詞)が特徴。リリースから30年近く経った今でも、夏になると必ず誰かが聴いている不朽の名作です。
サウンドの心地よさはもちろん、とにかく歌詞の表現が秀逸で、ものすごく「喉越しが良い」んです。夕暮れに聴くと、今日という夏の1日を愛おしく振り返っている感じがして最高にエモい。精度高く夏の空気感を再現しているせいで、聴き終わる頃には無性に「おそば」が食べたくなり、プール帰りにアイスを買いたくなる気分にさせられます。私も毎年夏になると、この曲にそそそかされ、心地よく流されています。
⑤ Justin Bieber「LOVE SONG」
最後に紹介するのは、ジャスティン・ビーバーが2025年9月にサプライズリリースして世界中で話題をさらった最新アルバム『SWAG II』からのリードシングル「Love Song」です。
この曲は、どこか歪んだヴィンテージライクなピアノループと、ジャスティンの甘く艶っぽい歌声が融合した極上のR&B/ポップ・ナンバー。
これをお散歩中に聴いたら、一瞬で「自分が海外の映画やドラマの主人公」になったような錯覚に陥ることができます。 歌詞の通り、夕暮れのマジックアワーの空の下、車のトップをオープンにして風に髪をなびかせながらドライブしているような最高のムード。日常の喧騒から一歩抜け出した雰囲気でおうちに駆け込み、そのまま湯船にドボンと浸かってしまえば、気分はもう優雅な海外セレブのウィークエンド。私こそが映画『プラダを着た悪魔』の主人公になれるのです。……まだ1回も観たことないですが、分かります。絶対にあの最高に洗練された気分です。
音楽とともに、夏の夜へ溶けていく
音楽の専門家ではないので、この記事が皆さんの役に立ったのかは分かりませんが、書いていて私自身がものすごく楽しかったです。自分のための記録的な意味も含めて、この「夏曲シリーズ」はこれから季節の定番としていくつか出していこうかな、と思っています。
ほんの少しでも新しい音楽との出会いと、少しでも新たな音楽の出会いと、素敵なミュージックライフのささやかな拡充になれば。
さあ、スマホにお気に入りの音を詰め込んで、涼しい風を探しに行きましょう
