
4月の芽吹きの季節を過ぎると、新緑がまぶしく感じられる5月です。
和暦では5月を「皐月(さつき)」と言います。
田んぼに水を張り、苗を植え始める季節。そして4月に芽を出した草花が少しずつ根を張り、育ち始める時期でもあります。
私達も新しい生活や変化を迎えてから1ヶ月ほど。
新しい環境に慣れようと頑張ってきた分、ふと気が緩んだときに、疲れや不安が表に出てくる頃かもしれません。
この時期、よく耳にする「五月病」という言葉があります。
「病」と聞くと、あまり良くないことのように思われがちですが、これは決して特別なことではなく、この季節に現れやすい自然な心の姿を表現しています。
では、この5月上旬を暦でみてみましょう。
二十四節気では、「立夏(りっか)」から「小満(しょうまん)」へと移り変わる時期になります。
立夏は、夏の気配が立ち上がる頃。
風はやわらかく、陽の光が少しずつ力強さを増していきます。
そして小満は、万物が次第に満ちていくという時期。
草木や生命が静かに成長し、「満たされる」という感覚が芽生え始めます。
さらにそこから細かく七十二候に目を向けてみましょう。
「蛙始鳴(かわずはじめてなく)」では、田植えを控えた田に水が入り、水辺の生き物であるカエルの鳴き声が聞こえ始めます。
そして「蚯蚓出(みみずいずる)」。
土の中にいるミミズや小さな虫たちが土からはい出して土壌で動き出す様子がみられる頃。
次の「竹笋生(たけのこしょうず)」では、竹林の固い土を破って力強く空へ向かって伸びるタケノコの生命力を感じます。


こうした自然の姿は、実は私たちの心とも上手く重なっています。
4月に少し無理をしてでも頑張った心と身体は、今、少しずつ「整え直す」時期に入っています。
今の時期は、無理に前へ進もうとするよりも、少し力を抜いて「流れに身を委ねる」「今の自分の状態を一旦受け入れる」ことが、セルフケアのポイント。
日々頑張っている自分を認め、自分自身が心地よいと感じることを優先にすることで、また次の季節を活動する力を蓄える事ができるのです。
この季節におすすめしたいテーマは「力を上手に抜くこと」です。
たとえば、朝起きたらカーテンを開けて光を浴び、温かい飲み物をゆっくり飲むこと。
帰宅後に5分だけ何もせず、身体を大の字に広げて深呼吸すること。
どれも小さなことですが、心と体のリズムを整えることに役立ちます。
また、この季節は新緑の色に触れることもおすすめです。
若草色や青緑の景色は、日々使い過ぎている目や脳の緊張をゆるめ、自然に体の力を抜いてリラックスさせてくれます。
公園を歩いてみたり、木々のある場所に身を置くだけでも、心が落ち着くのを助けてくれるでしょう。
平安絵巻タロットの世界では、自然を味わい、自然と調和することが大切にされてきました。
今の自分のペースを崩すことなく、急がず、比べずに。
「育っていく途中の自分」を認め、賞賛すること。
それは、現代を生きる私たちにとっても大きな癒しとなります。
五月のやわらかな風に身をゆだねながら、少しずつ、自分の内側を満たしていきましょう。
★今月の御守り札★
「宴」
【自然の中での新たな息吹】

新しい環境、新しい知識に触れる機会の多いこの時期の御守りとなる未札は「巻の一」と呼ばれるカードです。
このカードは、これから物語が始まる直前のワクワクした気持ち、未知の世界への一歩を踏み出す前の不安と緊張を前向きに導いてくれることでしょう。

