
麻布台ヒルズ ギャラリーでは、2026年1月16日(金)から3月29日(日)まで、「劇場アニメ ルックバック展 ―押山清高 線の感情」が開催されている。本展は、藤本タツキによる同名漫画を原作とした劇場アニメ『ルックバック』を題材に、監督・押山清高が自ら主催する展覧会だ。
原画と制作資料でたどる、“線”に込められた感情

会場では、劇場アニメ制作の過程で生まれた原画や設定画、メモなどを多数展示。完成映像だけでは見えない、線の揺らぎや筆致の迷いまでもが可視化され、アニメーションが感情の積み重ねであることを実感できる構成となっている。押山監督をはじめとするアニメーターたちが作品に注いだ熱量が、展示空間全体から伝わってくる。


雨の中を疾走する藤野を空間に描く、3Dドローイング

開幕イベントでは、押山監督による3Dドローイングが披露された。ヘッドマウントディスプレイを装着し、空間に直接描かれたのは、作中でも象徴的な「雨の中を疾走する藤野」の姿。
「描くことは楽しいだけでなく、苦しい時もある。でも、結局また描きたくなる」。藤野の姿に自身を重ねたという監督の言葉は、本作の根底に流れる衝動と強く響き合う。
AI時代に“手で描く”意味を問う特別トーク

経済学者・成田悠輔氏を迎えた特別トークでは、AIと創作、漫画とアニメの違いなどが語られた。押山監督は「少人数制作だからこそ、AIを味方につけられる可能性がある」と語り、技術進化と表現の未来に対する前向きな視点を示した。
物語の記憶に触れる再現展示


藤野の部屋、京本家の廊下といった印象的な空間も展示として再現。
キャラクターの生活の気配を感じることで、観る側自身の記憶とも静かに重なっていく。
音声ガイドで深まる物語体験


本展の音声ガイドは、藤野役の河合優実さん、京本役の吉田美月喜さんが担当。
二人の声に導かれながら展示を巡ることで、キャラクターの感情や関係性がより立体的に立ち上がる。作品世界への没入感を高めてくれる要素のひとつだ。
物語を“味わう”コラボカフェメニュー








会期中は麻布台ヒルズ内の複数店舗でコラボメニューも展開。
キャラクターや印象的なシーンをイメージしたドリンクやスイーツが揃い、展示の余韻を五感で楽しむことができる。

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ルックバックについて


『ルックバック』は、漫画を描くことに心を捧げる二人の少女・藤野と京本の出会いと別れを描いた青春物語だ。学年新聞の4コマ漫画をきっかけに始まる関係は、創作への喜び、嫉妬、挫折、そして取り返しのつかない喪失へと展開していく。
本作が多くの読者・観客の心を打つのは、「描く理由」そのものを真正面から問いかけてくる点にある。上手くなりたい、認められたい、それでも描かずにはいられない——そんな衝動が、静かで痛みを伴う物語として描かれる。
押山清高監督による劇場アニメ版では、線の一本一本に感情が宿り、沈黙や余白までもが雄弁に語る映像表現へと昇華された。
描くことの原点に、静かに立ち返る時間

この展覧会は、作品ファンはもちろん、「描くこと」「創ること」に心を動かされた経験のあるすべての人に向けた空間だ。『ルックバック』という物語を、線と感情の記憶として、ぜひ体感してほしい。
出典:PR TIMES

